【漢字雑学】「台風」はなぜ「大風」と書かないのか…ほか子どもや友人に話したくなる漢字の話
なぜそう書くの?意味は?
天気予報で台風のニュースを観ていた時のことです。
「【たいふう】ってなんで【台の風】と書くの!?それより【大風】の方が意味が伝わるんじゃない!?」
普段は何も気にせず見過ごしていましたが、漢字について疑問に思うことがたまにあります。その度、スマホにメモしておき帰宅してから漢和辞典で調べるようにしています。
今日はその中から面白いなと思った漢字の不思議を以下のラインナップでご紹介します。時間のない方も気になるところだけでも読んでやってください。
【読破】は読んだあと破り捨てる!?
「読破」という言葉があります。この熟語もよく考えると不思議な字ですよね。中国では古くから、読み終わった書物は破り捨てて…
なんてことはもちろんありません。漢字辞典で調べてみると、納得のいく意味が載っていました。この「読破」の【破】にはもう一つの意味があるようです。
【破】
① やぶる。
② 動詞に添えて、つくす・しとげる意を示す。「読破」
③ 文意などを解きあかす。「破題」
④ 顔をほころばせる。「破顔」
赤塚忠『漢和辞典 第五版』旺文社、746頁。
この場合②の「やりとげる」という意味が使われています。調べてみて納得しました。「突破」「走破」なども同じ用例の熟語ですね。
【抹茶】の【抹】って抹殺の抹だよね…こわい
抹茶味って人気ですよね。でも抹茶の「抹」ってこわい…。だって「抹殺」の「抹」なんですもの!なんで手偏の漢字なの!?違う部首の方がしっくりきませんか!?例えば
草かんむり「茉」
木へん「木末」←こんな漢字はありませんが…
とかの方がいいんじゃないの!?しかしこれも調べてみると納得でした。【抹】にはこのような意味がありました。
【抹】
①ぬる。
②する。こする。
③ぬぐう。
④こな。粉にする。
【抹茶】
ひき茶。うすでひいて粉にした茶。
赤塚忠『漢和辞典 第五版』旺文社、440頁。
抹茶が「粉にした茶」という意味だったとは。勉強不足で全く知りませんでした。粉にした茶だから【抹】の字が使われているということで納得できました。粉にするのですから手偏だというところも納得です。
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【たいふう】はなぜ【台風】!?【大風】じゃないの!?
「たいふう」って風が強い訳だから「大風」でいいんじゃないかなと思ったのは私だけでしょうか。しかも「台の風?」というのが意味不明です。これも調べてみると納得。
「たいふう」というのは、元々は【颱風】だったが、風編が省略されて簡略化した【台風】に書きかえられたそうです。
【颱】
意味:たいふう
【颱】は、それ自体が台風という意味だそうです。
漢字には「象形文字」「指示文字」「会意文字」「形成文字」の4種類がありますが、【颱】はその中の形成文字です(形成文字くわしくは次の見出しで!)。つまり
「風」が意味を表す部分
「台」が音を表す部分
その意味を表すのは「風」が省略されて、音を表す「台」だけが残ってしまっています。熟語【台風】は、意味を表す「風」が省略されてできたから「台の風」と意味のわからない熟語になっているのですね。
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「暮」「墓」「募」は全て「ボ」と読む!? ~形成文字の秘密~
「暮」「墓」「募」の音読みは全て「ボ」です。これは、この三つの漢字が形成文字であるからです。
形成文字とは、「意味を表す部分と音を表す部分からなる漢字」です。
①音「莫(ボ)」+ 意味「日」=「暮」
②音「莫(ボ)」+ 意味「土」=「墓」
③音「莫(ボ)」+ 意味「力」=「募」
↓
①は日が沈むから「暮れる」
②は土に埋めるから「墓」
③は(力を使って)招き集めるから「募」
となります。「莫(ボ)」は音を表すだけなので意味はありません。逆にこの「莫(ボ)」という部分を3つの漢字はもっているから、3つとも「ボ」という音読みをするわけです。
他にも「裁」「載」「栽」なども調べてみると面白いですね。
※意味も音も表す会意形成文字という漢字もありますので、その点だけ留意しておいてください。
☆どっちが正しい漢字!?
ここからはどっちが正しい漢字なのか、どういう違いがあるのかを見ていきます。全て意味の違いを言えるでしょうか!?私は知らなかったので調べました…笑
「寂しい」「淋しい」の違い
「さびしい」という漢字、どっちを使えばいいのと悩んだことがあるのではないでしょうか。
【寂】
ひっそりとものさびしい。
【淋】
水をそそぐ。水のしたたり落ちるさま。
「淋」の漢字自体に「さびしい」という意味はなく、後から日本で付け加えられたもののようです。更に、「寂」は常用漢字で、「淋」は常用外ですので、教科書や新聞に出でくるのは「寂しい」です。
使い分けとしては、「寂しい」がものさびしい様子を表し、「淋しい」がさびしい心情の様子を表します。
「飲む」「呑む」の違い
基本的に「飲む」を使えば無難な感じはありますが、では「呑む」はどういう場合に使うのでしょうか。
【飲】
広く、湯水などを飲む。
【呑】
のみ下す。まるのみにする。
本来なら「飲む」を使うのが正しいようですが、豪快さを出したいときは「呑む」を使うといったところでしょうか。まさに「呑んべえ」は「呑」が似合いますね!ヘビが虫を呑むようにお酒をのむ場合はこちらを使ってください!笑
「了解」「諒解」の違い
とある漢字に詳しい先輩からきたメールにこうありました。
「諒解です。」
かっこいー!
と一瞬思いましたが、「了解」ではないのか!?どう違うの!?という疑問がふつふつと湧いてきました。
調べてみると、どうやらもともとは「諒解」だったのが、「了解」に書きかえられたようです。ちなみに【諒】の意味は
【諒】
思いやる。察する。
まこと。
だそうです。
さらっと「諒解」を使ってみましょう!
さいごに
漢字って色々考えたり調べたりすると漢字の由来が分かって楽しいですね。
これからも日常で疑問に感じた「漢字」は調べていきたいと思います。
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