【旅小説】思わず旅に出たくなるおすすめ小説&エッセイ6選
旅行は旅行でもいろいろな旅行があります。家族旅行、職員旅行、卒業旅行、友達と旅行、ひとり旅などなど。
今回紹介する本は思わず旅に出たくなるような、そんな小説やエッセイです。物語としても楽しめるものを選びました。
今回紹介する本を読んで、皆さんが素敵な旅を楽しんでいただければ嬉しいです。また旅行に行けない!というかたも旅の気分を味わってみてください。
※ 引用は全て背表紙のあらすじからの出典
1.西加奈子『うつくしい人』
仕事を辞めたのを機に、思い切って離島でのひとり旅を決意した32歳の百合。出会う人との関わりが温かく、旅の出会いが百合を変えていきます。百合の心情の変化を感じつつ、島の人やホテルの人との旅のわくわくを楽しみながら読み進められる一冊です。
他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書館で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた。
2.片桐はいり『グアテマラの弟』
グアテマラってどこ?というところから始まった一冊でしたが、読んだ後はグアテマラの空気を吸ってみたい気持ちになりました。重くなりがちな家族の問題なども片桐さんの文章では温かく取り上げられているように思います。グアテマラでのエピソードも面白く、笑いあり感動ありのエッセイです。
グアテマラの古都・アンティグアに家と仕事と家族を見つけた年子の弟。ある夏、姉は十三年ぶりに弟一家を訪ねる旅に出た。まばゆい太陽とラテンの文化で、どんどん心身がほぐれていく。そして陽気に逞しく暮らす人たちと過ごすうち心に浮かんだのは、外国を知らずに逝った父、家事にあけくれ続ける母のことだった。旅と家族をめぐる名エッセイ。
3.筒井康隆『旅のラゴス』
ラゴスが色々な場所に旅をして、様々なことを体験していく物語。時に奴隷となり、時に国王となる波乱万丈の男旅がかっこいい。ある目的で旅をするが、この旅こそがラゴスの人生のように感じる。ふらっと旅に出たくなる、そんな一冊です。
旅をすることがおれの人生にあたえられた役目なんだ。集団転移、壁抜けなど不思議な体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅を続ける男・ラゴスの目的は何か?北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。
4.重松清『きみ去りしのち』
「旅をしている」から始まる全9章の旅。一人で、また娘と共に各地に旅に出て自分や家族、命と向き合っていく物語。息子を亡くしたところから家族がバラバラになりながらもそれに向き合っていく。1つ1つの旅から命とどう向き合うかを問われます。
幼い息子を喪った「私」は旅に出た。前妻のもとに残してきた娘とともに。かつて「私」が愛した妻もまた、命の尽きる日を迎えようとしていたのだ。恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、与那国島、島原……"この世の彼岸"の圧倒的な風景に向き合い、包まれて、父と娘の巡礼の旅はつづく。鎮魂と再生への祈りを込めた長編小説。
5.角田光代『キッドナップ・ツアー』
お父さんにユウカイされ、様々な珍道中を繰り広げる少し変わったひと夏の旅。だらしない父親にミゾを感じながらも、旅を通して見失っていたものを取り戻していく主人公ハル。どこか懐かしく、ゆったりと心にしみる物語です。
五年生の夏休みの第一日目、私はユウカイ(=キッドナップ)された。犯人は二か月前から家にいなくなっていたおとうさん。だらしなくて、情けなくて、お金もない。そんなおとうさんに連れ出されて、私の夏休みは一体どうなっちゃうの?海水浴に肝試し、キャンプに自転車泥棒。ちょっとクールな女の子ハルと、ろくでもない父親の、ひと夏のユウカイ旅行。私たちのための夏休み小説。
6.沢木耕太郎『深夜特急』
ひとりロンドンを目指す旅に出て、毎日を気の赴くままに旅する。バックパッカーとして旅に出る人も続出した本作。旅のロマンを全身に感じる一冊。
インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く――。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは「大小(タイスウ)」というサイコロ賭博に魅せられ、あわや……。一年以上にわたるユーラシア放浪が、いま始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ!